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プロジェクターの輝度と耐久性を高める「無機光学デバイス」

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輝度向上で拡大を続けるプロジェクター市場

パソコンやタブレット等の映像を、スクリーンに大きく投影できるプロジェクターは、会議やプレゼンテーションなどのビジネスシーンで広く活用されています。またエンターテイメント分野でも、映画館で使われるデジタルシネマプロジェクターや、ライブやイベントなどでCGを立体物に投影する「プロジェクションマッピング」用プロジェクターの市場が、拡大を続けています。

こうした最近のプロジェクターの性能に関して特筆すべきなのが、その「輝度」です。2010年頃までは、会議室でプロジェクターを使用する場合、投影される映像の輝度が低いため、部屋の電気を消して暗くする必要がありました。しかし近年は技術の向上によって、部屋が明るいままでもはっきりと投影された映像を視認することが可能になっています。

そのプロジェクターの輝度向上を実現する上で欠かすことができない技術が、「無機材料で作られた光学デバイス」になります。デクセリアルズの子会社であるDexerials Precision Components株式会社(以下、DXPC社)では、プロジェクター内部の重要部品である「無機偏光板」「無機波長板」「無機拡散板」を開発・設計し、多くのメーカーに採用されてきました。本稿では、そのはたらきについて簡単に説明するとともに、なぜ「無機」であることが重要なのかを解説します。

3種類の光学デバイスのはたらき

では、以下にDXPC社が開発・設計しデクセリアルズが販売する3つのプロジェクター用光学デバイスについてその働きを詳しく見ていきましょう。

・無機偏光板

偏光板の役割は、ひとことで言えば「フィルター」です。電磁波の一種である光はその名の通り、3次元空間のなかを波打ちながら進んでいます。波には方向があり、太陽の光や蛍光灯の光などは、進行方向に対してタテ・ヨコ・ナナメ、さまざまな方向の振動が混ざっています。それに対して「偏光」とは、光の振動方向がある一定の平面上にそろった光のことを指します。

釣り用の偏光サングラスをかけると、水面から反射する光のぎらつきがなくなり、水面下の様子がよく見えるようになります。それはサングラスの偏光膜によって、ぎらつきの原因である水面と平行方向に振動する反射光がカットされるからです。偏光板も、光源から発せられる光の波の方向を、透過軸方向のみに揃える機能を果たします。

・無機波長板

波長板は、「光の偏光方向を回転させる」機能を持っています。偏光板を通り抜けた光は、ある特定の方向に偏光していますが、波長板を通すことでその方向を「変える」ことができます。波長板の種類は1/2波長板、1/4波長板、1/8波長板などがありますが、市場にもっとも流通しているのは、1/2波長板、1/4波長板になります。波長板は、プロジェクター内部で光を効率よく利用するために使用されています。

DXPC社では無機波長板を使い、無偏光を一方向に偏光を変換する「PSコンバーター」というデバイスも扱っています。

・無機拡散板

拡散板は、光源から出射される光を広げる機能を担っています。以前のプロジェクターは光源に水銀ランプが使われていましたが、最近のプロジェクターのほとんどはレーザーを光源に用いています。レーザー光は通常の光に比べて、指向性が強くほとんど広がらないため、拡散板を通すことによって、光をある範囲に広げることが可能になります。

光学デバイスに「無機材料」が求められる理由

上記で説明した、偏光板、波長板、拡散板などの光学デバイスは、有機材料で作られているものもあります。しかし、最近の高輝度のプロジェクターには、無機材料のものが多く採用されるようになりました。その理由は、無機材料の「高い耐久性」にあります。

高輝度のプロジェクターの光源に使われるレーザー光は、高いエネルギーを持っていることから、透過する光学デバイスに熱を与えます。長期間にわたって使用を続けることで、光学デバイスの分子構造を変化させ、機能を劣化させます。有機材料で作られた偏光板、波長板、拡散板などは長期間にわたって使用を続けることで光学デバイスの分子構造を変化させ、機能を劣化させます。高温状態が続くと黄変(黄色く変色すること)し、出力する画像の画質もそれにともない劣化します。そのため、ガラスのように耐熱性が高く、光によってほとんど影響を受けない、無機材料が光学デバイスに使われるようになったのです。

DXPC社では、独自の薄膜微細構造を実現するナノレベルの加工技術によって、高透過・低反射、そして高温・高光量の環境にさらされても長期間劣化しない、高い耐久性を持つ光学デバイスを実現しました。

光学デバイスが使用されるアプリケーションはプロジェクターの他にも、車載用のヘッドアップディスプレイや各種のセンサー、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)などのエンターテイメント用機器にも広がっています。さらなる活用の可能性を見据え、研究開発を続けてまいります。

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