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光トランシーバーの通信性能はどう決まる?bps、bps/lane、Baud Rateの解説

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光トランシーバーでは、「800Gbps」「200Gbps/lane」「100Gbaud」など、通信性能を表す異なる指標が使われており、具体的には、「トランシーバー全体の通信速度」「通信路1本当たりの通信速度」「信号変化の速度」になります。本記事では、bps、bps/lane、Baud Rateと光トランシーバー高速化の背景を解説します。

光トランシーバーの通信性能を理解するーー「3つの速度」:bps、bps/lane、Baud Rateとは何か

データコム向け光トランシーバーでは、「bps」「bps/lane」「Baud Rate」の関係によって、必要なファイバー本数や構成が変化します。以下に、1本の光ファイバーに1つの波長だけを流す、最もシンプルなシングルモード(1通信路=1光ファイバー)を前提に、各指標の関係性をまとめてみました。※Baud Rateの値については、PAM4と呼ばれる変調方式を前提に理論値を記載しています。(詳しくは後段の文章を参照)

トランシーバー速度 bps/lane 光ファイバー数(Lane数) Baud Rate
800Gbps 100Gbps/lane 8本 50Gbaud
200Gbps/lane 4本 100Gbaud
1.6Tbps 200Gbps/lane 8本 100Gbaud
400Gbps/lane 4本 200Gbaud
3.2Tbps 400Gbps/lane 8本 200Gbaud

トランシーバー速度(bps)が同じ場合、「bps/lane」を高めることで、光ファイバーの本数を減らすことができます。逆にbps/laneが低い構成では、必要な光ファイバーの本数が増え、実装面積や消費電力の面で不利になります。こうした違いを理解するために、まずは「bps」「bps/lane」「Baud Rate」の関係を整理していきます。

①光トランシーバーの通信速度(bps)とは何を示すのか
光トランシーバー全体の通信能力を示す速度指標が「bps」です。bpsは「bits per second(ビット・パー・セカンド)」の略で、1秒間に送受信できるデータ量を表します。光トランシーバーの製品仕様では、製品全体の通信速度として用いられます。現在の主流製品では400Gbps、800Gbps、そして次世代の1.6Tbps、さらには3.2Tbpsといった数値が使われています。現在、データセンター向けでは800Gbpsが主流となっており、1.6Tbpsの量産も始まっています。

②同じbpsでも「bps/lane」で性能が変わる理由
「lane(レーン)」とは、パラレル(並列)伝送における独立した信号路を指しており、“信号の流れ”の単位と言い換えることができます。つまり「bps/lane」は一つの信号路のデータ転送速度を表しています。今日の光トランシーバーでは、「bps/lane」の向上が小型化・低消費電力化・高速化の鍵となっています。

現在、単一波長伝送仕様の800Gbpsのトランシーバーには大きく分けて2つの構成があります。一つは100Gbps/laneの信号を8レーン使用する構成、もう一つは200Gbps/laneの信号を4レーン使用する構成です。ここでいうレーン数は、送信側または受信側のいずれか一方向における信号チャネル数(=光ファイバー本数)を指します。どちらもトランシーバー全体の通信速度は800Gbpsですが、内部構造は大きく異なります。200Gbps/lane構成では、必要なレーン数(送信側または受信側のチャンネル数)を半減できるため、部品の実装面積の削減や、低消費電力化につながります。一方で、より高速な信号を扱う必要があり、信号劣化やノイズの影響を受けて波形が歪みやすく、高度な信号処理や高性能な送受信デバイスが求められることから、技術的難易度は高くなります。

800Gbpsトランシーバーにおける構成比較について説明した図

③Baud Rateとbps/laneの関係
Baud Rate(単位:Bd)は、1秒間に伝送される信号の状態(シンボル)の数を表す指標です。データコム向け光通信では、従来、1シンボルあたり1bitを伝送するIMDD(Intensity Modulation Direct Detection)方式が使われて来ましたが、近年ではPAM4と呼ばれる1シンボルあたり2bitを伝送できる変調方式も用いられています。前述したように「シンボル」とは信号の状態を表す単位であり、PAM4では4つの状態を用いるため、1シンボルで2bitの情報を伝送できます。そのため、PAM4では以下の関係が成り立ちます。
bps/lane = Baud Rate × 2
例えば、PAM4変調を用いた場合、Baud Rateが200GBaudのとき、400Gbps/laneの伝送が可能となります。

PAM4変調のイメージについて説明した図

以上、「3つの速度」:bps、bps/lane、Baud Rateについて説明してきましたが、ここからはこれらの指標を踏まえ、光トランシーバーの通信性能について具体的に見ていきます。

データセンター向け光トランシーバーで200Gbps/laneが求められる背景

データセンター向けの光トランシーバーは、100Gbps/laneでの構成が長らく主流でした。しかし、800Gbps世代では必要な光ファイバー本数が増加し、これに伴いトランシーバーの大型化や消費電力増といった課題が顕在化してきました。こうした背景から、より少ない光ファイバー本数で高速通信を実現できる200Gbps/lane技術が求められるようになりました。その実現にはレーザー光源やフォトダイオード(PD)、DSP(Digital Signal Processor)など光トランシーバーを構成する各種デバイスの性能向上が不可欠です。

現在、200Gbps/lane技術は着実に性能向上が進み、800Gbpsや1.6Tbps世代の光トランシーバーへの採用が進んでいます。一方、次世代の3.2Tbps世代では、さらに高速な400Gbps/lane技術が求められています。

400Gbps/lane技術へのチャレンジ

200Gbps/lane技術をさらに発展させた400Gbps/laneが実現すれば、トランシーバーあたりのレーン数を抑えながら、1.6Tbpsや3.2Tbpsといったさらなる大容量通信を実現できるようになります。しかしその実現には、これまで以上の大きな技術的障壁があります。

特に、400Gbps/laneではより広い帯域での動作や高速応答性が求められます。しかし、従来のシリコン系材料を用いたデバイスでは、このような超高速領域において応答速度や周波数特性に限界が見え始めています。そのため、より高速動作に適したInP(インジウムリン)などの化合物半導体を用いた新たなデバイス技術の開発が進められています。

400Gbps/laneで求められる次世代フォトダイオード

データセンター向け光トランシーバーの高速化では、送信側・受信側ともにデバイスの進化が求められ、受信側の重要デバイスであるフォトダイオードにも進化が求められています。従来用いられてきた面型入射のPIN型フォトダイオードは100Gbps/lane、200Gbps/laneまでは対応できましたが、400Gbps/lane級の超高速信号への対応が難しくなっています。さらに、微弱な光信号を正確に検出する性能や、高速動作時の発熱対策も重要な課題となっています。

こうした課題に対応するためには、材料だけでなく、フォトダイオードの構造そのものの進化が必要と考えられています。デクセリアルズでは、InP(インジウムリン)やGaAs(ガリウムヒ素)を用いた高速応答フォトダイオードに加え、従来とは異なる構造を持つ「導波路型フォトダイオード」の研究開発を進めています。
導波路フォトダイオードの仕組みの詳細はこちらの記事からご確認いただけます。

400Gbps/lane時代に向けて注目される「Coherent Lite方式」や「PIC(Photonic Integrated Circuit)技術」については、以下の記事で詳しく解説しています。
1.6T/3.2T時代の到来。データコム向け「Coherent Lite方式」とPIC技術の最前線

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