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新製品ICカード向け異方性導電膜(ACF)の特長とメリット

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多機能化するICカード

皆さんのお財布の中にも、銀行のキャッシュカードやクレジットカード、交通系のカード、最近だとマイナンバーカードなど、たくさんのカード類が入っていると思います。日常生活の必需品であるそれらのカードには近年ICチップが組み込まれ、従来の磁気ストライプカードよりも大幅に記憶容量が増えるとともに、多種多様な機能が搭載されるようになりました。

デクセリアルズが開発、製造、販売する異方性電動膜(以下ACF)は、これまでスマートフォンやタブレットPC、大型テレビなどのディスプレイの配線接続に主に使用されてきました。現在では、上記の多機能化したICカードの世界でも、内部に組み込まれる機能部品の実装材料としての採用が始まっています。下記は、最新のICカードの内部で、デクセリアルズのACFがどこに使用されるかを表した図になります。

ICカードにはICチップの情報を直接機器で読み取る「接触型」と、内部のアンテナから電波を飛ばして外部と情報をやりとりする「非接触型」があります。ICカード向けACFの用途の一つが、非接触型におけるICチップとアンテナ回路の接続です。

また最近のICカードには液晶や電子ペーパーのディスプレイが搭載され、内部のバッテリーによって残高やポイント、クーポンなどの情報が表示できるものがありますが、その配線にもACFが使われています。さらに海外では指紋による生体認証機能を搭載したICカードが実用化されつつあり、指紋認証センサーの接続にもICカード向けACFの使用が検討されています。

ICカード向けACFの特長

前述のようにACFはICカードに搭載・内蔵される部品の接続部でもお使いいただける接合材料です。ここではよく目にするクレジットカード(接触型・非接触型ICカード)を例に、ICチップの搭載に使用するICカード向けACFの特長を説明します。

ACFの特長は樹脂に埋め込まれた導電粒子によって、それひとつでICチップと回路を「接着」しながら「導電」し、隣接した端子同士がショートを起こさないよう「絶縁」できることです。ICチップ向けACFも、「接着」「導電」「絶縁」の役割を果たしていますが、「絶縁」に関してはディスプレイ向けのACFとは異なり、端子間が広いために粒子が詰まってショートを起こすことはまれです。そのため、ICカード向けACFの粒子には絶縁コートがありません。

一方、ICカード向けACFに求められる別の特性としては、リール状に巻かれたICチップとACFが重なり合ってからカードへの転着工程に進むため、転着前にお互いが貼り付かないようにタックレスであることが求められます。その他、熱圧着工程ではカードを熱で変形させないように一度の圧着時間を0.5-1.5秒程度に短縮、その代わり接続に必要な熱エネルギーを与えるために複数回(2〜4回)の圧着を実施します。さまざまなICチップや指紋センサーの形状にACFの形を合わせられる柔軟な抜き加工性、ICチップへ転着後、カードへの熱圧着工程に進む前に常温保管できる事などがICカード向けACFには求められています。

また、ディスプレイ向けのACFに比べ、ICカード向けACFは接続面積が大きいため、製品幅が広いことも特長です。ディスプレイ向けのACFが1㎜前後の幅であるのに対して、ICカード向けADFは29mmまたは29.5mmの幅広のロール(写真参照)で出荷されています。上記イラストは、ICカードに搭載されるICチップをACFによってカードに実装している様子を表しています。

ICカード向けACF(出荷時のロール外観)

ICカード製造においてACF実装を採用するメリット

ICカードにICチップを組み込むやり方としては、ICカード向けACFを使用する以外に、はんだ付けとホットメルトテープを使ってカードに埋め込む方法や、導電性のペーストとホットメルトテープを用いる手法などもあります。

このように、ICカードにチップを搭載する方法にはいくつかの種類がありますが、デクセリアルズのICカード向けACFをICチップの実装で使用されている理由は、他工法に比べて大きく「材料コスト」「設備コスト」が低減できるためです。はんだ付けでは、はんだとホットメルトテープの材料が2種類必要となり、また各工程でそれ専用の設備を用意しなければなりません。

一方でICカード向けACFは、カードにキャビティを作る「ザグリ加工」については他工法も同じであり、ICチップを埋め込む設備さえあればすぐに導入することができ、その設備だけで接触型/非接触型の2種類のカードが作れることが大きなメリットです。

すでに採用も始まっており、コストダウンのためにデクセリアルズのICカード向けACFの導入を検討されるお客さまが増えています。また、ICカードの世界では、生体認証などの新しい機能を追加する試みが様々なされており、こういった新しい機能の組込にもACF実装は威力を発揮します。

日本でも「デュアルインターフェースカード」と呼ばれる、一枚のカードで接触/非接触の両方の機能を持つICカードが増えてきました。そうした新しい仕様のカードを作るために新規の生産設備を入れるのは、製造メーカーにとって大きな負担です。ACF実装を導入いただくことで、現在の仕様はもちろん、新しい仕様に対しても柔軟に対応出来ることから、ぜひ当社ACFの活用をご検討ください。

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