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紫外線でも熱でも固まるエポキシ系接着剤の技術

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紫外線硬化型接着剤の優れた特性

皆さんの中には、歯科の治療で歯に詰め物をされた経験がある方がいらっしゃると思います。歯医者さんが柔らかいペースト状の「レジン」を歯の穴につめて、口の中に入れた機械のスイッチをカチッと押すと、あっという間に固まります。じつはその機械は、紫外線の照射機です。柔らかいレジンに紫外線を照射することで化学反応を起こし、短時間で固まらせているのです。

デクセリアルズが開発する「紫外線硬化型接着剤」も、歯医者のレジンと同様の原理で、紫外線を当てることで硬化し、部品どうしを接着します。接着剤には他にも、熱を与えることで硬化させるタイプのものもありますが、紫外線硬化型接着剤の長所は、以下の8点です。

UV硬化、熱硬化比較
  1. 短時間で硬化。わずか数秒という短時間で接着が可能。硬化に数分から数十分必要な熱を用いる熱硬化型の接着剤にくらべて、圧倒的に硬化時間を短縮できます。
  2. 低ダメージ。熱を用いないので、耐熱性の低い被着体(プラスチック、ビニール、紙など)にも適用できます。
  3. 省スペース。接着に使う設備は紫外線ランプなど小型のものが中心で、熱処理に必要な大きな加熱炉も不要です。
  4. 臭気が少ない。有機溶剤を使用しないため、臭気が少なく、人体に有害なガスや煙の発生、水質汚濁などの心配がなく作業環境を良好に保てます。
  5. 熱に対する安全性。熱を使った処理ではなく光による処理のため、作業員の安全性が高く保たれます。
  6. 省エネ・低コスト。紫外線照射機は長寿命のLED光源が使われるため、ランニングコストが抑えられます。
  7. ピンポイント硬化。狭い範囲に紫外線を照射することで局所的に接着できます。耐熱性の低い対象物であっても、ピンポイントで接着が可能です。
  8. 耐摩耗性に優れる。塗膜強度が非常に高く、接着剤面を鏡面仕上げ、金属光沢加工することで高級感のある見栄えにすることも可能です。
UV硬化の短所

一方、紫外線硬化型接着剤のデメリットとしては、紫外線の光が硬化させたい部分に当たる必要があることから「厚みのある対象物に向かない」「複雑な形状の対象物には向かない」ことが挙げられます。しかし近年の産業界、とくに精密機器の部品接着では、先に挙げたメリットが大きいことから、紫外線硬化型接着剤が広く使われるようになっています。

アクリル系(ラジカル重合)とエポキシ系(カチオン重合)の接着剤、その長所と短所

さて、そんな特徴をもつ紫外線硬化接着剤ですが、現在、硬化メカニズムによって大きく2種類に分かれています。一つは「ラジカル重合」反応によって接着剤を硬化させる「アクリル系接着剤」です。もう一つが、「カチオン重合」反応によって硬化させる「エポキシ系接着剤」になります。

どちらも紫外線のエネルギーによって、固まる前の接着剤を構成する低分子(モノマー)が励起され、連鎖反応を起こして次々につながっていき、高分子(ポリマー)に変化する現象を利用しています。

それぞれの特徴を表にしたのが、下の表です。

ラジカル、カオチンUV硬化の比較

現在、世の中に出回っている紫外線硬化型接着剤の多くは、アクリル(ラジカル)系のものです。その理由は表にあるように、連鎖反応をスタートさせる開始剤や、接着剤の主たる原料となるモノマーの材料の選択肢が広いことにあります。アクリル系接着剤はウレタン等の素材を入れることで、接着剤の粘性をより高めて作業をしやすくできるなど、設計の自由度が高いという特性があります。

その一方で、エポキシ(カチオン)系の紫外線硬化型接着剤は、材料の選択肢はアクリル系ほど多くありませんが、「硬化収縮が少ない」という大きなメリットがあります。硬化する際の体積の変化が少ないため、ブルーレイディスクの読み込みに用いられるレーザーダイオードの固定など、ミクロン単位の精度が求められる精密部品の接着に適しているのです。

アクリル系材料の一例
エポキシ系材料の一例

高い精度が求められる精密部品に最適のエポキシ系接着剤

デクセリアルズは、このエポキシ系の紫外線硬化型接着剤の研究開発を以前から進め、現在では当社にしかない数々の用途に適した製品を開発してきました。当社が開発したエポキシ系紫外線硬化型接着剤は表にある通りアクリル系と同じぐらい硬化速度が速く、さらに固まったあとの物性も非常に剛直なのが特長です。

また紫外線が届かない複雑な形状や厚みのある素材には熱を加えることで硬化させることも可能であり、紫外線と熱処理の両方に対応可能なエポキシ系接着剤を保有しているのは、デクセリアルズの強みの一つです。

近年、スマートフォンに搭載されるカメラ、自動車のセンシングを行うカメラは、小型化が進み内部の部品に高い固定精度が求められるようになっており、デクセリアルズのエポキシ系紫外線硬化型接着剤は多くのメーカーの最新機種の心臓部の設計に活用されています。

精密機器の接着には、さまざまな考慮するべきポイントがあり、デクセリアルズにはこれまで事業で蓄積した多くの知見と技術があります。接着に関するお悩みがあれば、私たちにぜひご相談ください。

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