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【AutoSens USA 2025出展レポート】ADAS性能を引き出すデクセリアルズの光学材料技術

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自動運転技術の国際展示会「AutoSens USA 2025」レポート─ 注目テーマを現地からレポート

2025年6月10日〜12日には、アメリカミシガン州デトロイトのHuntington Placeにて「AutoSens USA 2025」が開催されました。本展示会は、先進運転支援システム(ADAS)および自動運転車(AV)技術に特化しており、世界中からOEMメーカーやTier1サプライヤー、研究者、技術者が集まり、最新技術と実装体験を共有する場となっています。会場では、OEMやTier1を中心とした実装フェーズを重視した技術提案が多く見られ、展示内容も実用化を前提としたテーマが目立ちました。業界関係者による具体的な導入検討や、現場課題に即した質疑が多く交わされていたのも特徴です。

また今回は、車内センシング技術に特化した「InCabin USA 2025」との共同開催となり、車内外のセンサー技術が融合する先進的なUX(ユーザー体験)設計や、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)に関する議論も活発に行われました。

私たちデクセリアルズも、ADAS向けセンシングの性能向上をテーマに、反射防止フィルムや異方性導電膜(ACF)などの製品を展示し、デモを通じて具体的なソリューションを提案しました。本レポートでは、AutoSensにおける業界トレンドと、当社ブースの展示内容についてご紹介します。

AutoSens会場の様子

ADASセンシング技術をめぐる4つの業界トレンド

「AutoSens USA 2025」では、先進運転支援システム(ADAS)および自動運転分野の進展を支える最先端のセンシング技術に注目が集まりました。

展示やセッションを通じて特に印象的だったのは、「精度」「信頼性」「ユーザー体験」「規制対応」といった多角的な観点から、センサー技術の役割が語られていた点です。以下に今年特に注目された4つのトピックを紹介します。

AIによる認識・判断能力の高度化

環境認識における精度と即応性の両立に向けて、AI技術の活用が加速しています。特に、画像処理やセンサーフュージョン、状況判断におけるAI実装の高度化は、ADASの実用性を左右する重要な要素として多くのブースで取り上げられていました。

悪条件下でのセンサー性能の向上

雨や霧、夜間などの環境下でも安定した検知性能を発揮することが、車載センサーにとってますます重要になっています。低照度への対応やノイズ耐性の強化といった技術的課題についても、多くの企業が具体的なアプローチを提示していましたが、デクセリアルズは光学制御の重要性に着目し、独自のソリューションを提案しました。

車内外のユーザー体験の統合

InCabin USAとの共同開催もあり、車内外のセンサーを統合した包括的なUX設計が注目されました。ドライバーモニタリングシステム(DMS)や乗員モニタリングシステム(OMS)といったInCabin技術の進化は、安全性と快適性の両立に向けたキーテーマとして扱われています。

安全性と規制対応

センサーシステムの高機能化と並行して、機能安全(Functional Safety)や各国の法規制への適合が重要な開発課題として浮上しています。ASIL準拠設計、ISO 26262対応技術、安全性検証の新手法などが、展示とセッションの両面で取り上げられました。また、会期中のセッションでは、SDV(ソフトウェアディファインドビークルやエッジコンピューティングといった車両アーキテクチャの変化にも注目が集まりました。センサーによる検知から情報処理・判断に至る一連のプロセスを最適化するため、ハードとソフトの連携に関する議論が活発に行われていた点も印象的でした。

デクセリアルズの光学ソリューションを発信

デクセリアルズは、ディスプレイや電子機器分野で培ってきた材料技術・光学設計技術を応用し、ADASや自動運転向けのセンシング性能を支える光学ソリューションの開発に注力しています。特に、センサーカメラやLiDARといった車載デバイスの周辺環境において、光の反射・透過・吸収を高精度に制御することで、認識精度の向上やノイズ低減、さらには悪条件下での安定動作に寄与できることを目指しています。

「AutoSens USA 2025」では、「光を制御することでセンシング性能を高める」を展示テーマに掲げ、カメラやLiDAR周辺に最適化した各種光学部材を紹介しました。光学課題に対応した製品群を展示し、車載センシングシステムの高度化に寄与するソリューションとして訴求しました。

ブースでは、製品単体の原理デモのみならず、実際の車載搭載製品を模したデモを用い、当社製品の搭載有無での「センシティビティ」の効果レベルを視覚的に体感できる展示を構成。光学制御の重要性を直感的に伝えることで、数多くの来場者の抱える技術課題に合致する実用性と、その再現性を意識した展示内容には、高い関心が寄せられました。

デクセリアルズの展示ブースの様子

主な出展製品の概要

異方性導電膜(ACF)

単体で導電性・絶縁性・接着性の3つの機能を果たすフィルム素材。車載カメラモジュールのFOB(Flex on Board)接続を従来のコネクター部品での接続からACF接続に変更することで、モジュールの省スペース化やコスト削減に貢献します。

無機光学デバイス

全てを無機材料で構成した、非常に高い耐熱、耐光性を有する偏光板や拡散板などの光学部材。過酷な車載環境下でも高い光学安定性を発揮します。

その他開発品も出展いたしました。開発品の詳細はお問い合わせください。

企業としての技術思想と開発ビジョン

当社は、創業以来60年にわたり、材料設計と光学機能に関する製品開発に取り組んできました。現在は、自社の強みである配合技術(Formulation)と微細構造加工技術を核に、センサー周辺の“見え方”までを設計対象とする光学ソリューションの開発に注力しています。

「AutoSens USA 2025」では、光がどのようにセンサーに届くかという光学経路の制御に加え、迷光や曇りといった視界の乱れを抑えるための材料設計・構造設計を可視化したモックアップを展示しました。こうした視覚品質の最適化は、センシング性能や実装信頼性を高める上で、欠かせない観点の一つだと捉えています。今回の出展を通じて、その考え方をグローバルの技術者の方々と共有できたことは大きな成果です。

開催前に行われた「AutoSens USA 2025」の公式インタビューで、デクセリアルズの開発思想と技術的バックグラウンドを詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。

※本動画はSense Mediaが運営するAutoSens公式YouTubeチャンネルより許可を得て掲載しています。
AutoSens公式チャンネルはこちら(外部サイト)

AutoSensを通じて見えた、光とセンシングの未来

自動運転技術の実用化が進むにつれ、センサーには「どれだけ見えるか」だけでなく、「どのように見せるか」という視点が求められるようになっています。光学性能や信号処理の限界を補完する手段として、光の反射や透過、迷光といった“見え方”の最適化は、今やセンシングシステム全体の品質を左右する重要な要素です。

私たちデクセリアルズは、材料設計と光学制御の両面からこうした課題に向き合い、センサーカメラやLiDARの性能を引き出す光学部材の開発を進めてきました。光の経路を精緻に制御し、ありのままの信号を最大限に活かす当社の技術は、センシングの信頼性や実装性の向上において、確かな基盤となると考えています。

今後もAutoSensのような展示会を通じて、現場観点と技術力をつなぐ情報発信を継続するとともに、グローバル市場に向けた製品開発や技術連携を一層強化してまいります。
出展内容や製品に関する詳細は、当社ウェブサイトまたはお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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