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スパッタリングの基礎知識

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スパッタリングの原理

フィルムやガラスの基材の表面に薄膜を形成する手法には、塗布、印刷、めっき、蒸着などがありますが、金属やセラミックで構成されるナノレベルの薄膜を精度高く形成するために使われるのが「スパッタリング」という技術です。

以下のイラストは、わかりやすくスパッタリングのイメージを描いたものになります。「プールの水(ターゲット)に石を投げ入れて、水しぶきをあげて、基材に水(ターゲット)を付着させる」ことで、薄膜を形成します。

実際のスパッタリングにおいて「石」の役割を果たすのが、真空の容器(真空チャンバー)内に充填されたアルゴン(Ar)などの不活性ガスです。上記イラストにおける「水たまり」は、金属やセラミックなどの「ターゲット材」と呼ばれる薄膜を形成する素材になります。スパッタリングでは真空中にアルゴンガスを導入し、ターゲット材料にマイナスの電圧を印加することで、蛍光灯でも使われているグロー放電を発生させます。するとプラスの電荷を帯びてプラズマ化したアルゴンイオンは超高速(秒速約3.2km)でターゲット材料の表面に衝突し、ターゲット材料の粒子(原子・分子)を激しく弾き飛ばします。弾き飛んだ粒子は勢いよく基材の表面に付着し、それが堆積することで、薄膜が形成されます。これが、スパッタリングの原理です。

エレクトロニクス分野を中心に、広がるスパッタリングの活用

スパッタリングによる薄膜形成技術はそれ以外の手法に比べて、「緻密で硬質な成膜が可能」「組成の正確な調整ができる」「膜厚を高精度に制御できる」などの優れた特長があります。その特長を活かし、半導体の配線膜や、最新のタブレットやスマートフォンのディスプレイの透明導電膜・光学膜、ブルーレイディスクなどのエレクトロニクス製品・素材に活用されています。また、金属薄膜の形成によってさまざまな光学特性を実現できることから、自動車のミラーや美しく光を反射する装飾品などの生産にも応用されています。

スパッタリングターゲットとは

スパッタリングターゲットは、基材上に形成される薄膜の「起点」となる素材です。薄膜の種類によってさまざまな金属やセラミックスが使用され、対象とする基材の違いによって、丸型と矩形(長方形)が使い分けられています。

実際に販売されているスパッタリングターゲットは、スパッタリング装置に設置しやすくするために、銅やモリブデン、アルミなどで作られたバッキングプレートとはんだで接着されています。

以下の左の図にある円型のターゲットは、半導体ウエハーや光ディスクなどの製品の成膜に使用されています。矩形のターゲットはガラスやフィルムなどの大面積の基材の成膜に適しており、以下の右の図のようにターゲット上を移動するガラスやフィルムを連続的に成膜します。

以下のイラストは、光ディスク製造装置内の断面イメージ図です。図の上にあたるところにターゲットが設置され、モーターと接続されたターンテーブルの上に成膜する光ディスクが載せられて、スパッタリングが行われます。実際の装置ではチャンバー内の真空状態を保ったままディスクが交換できるよう、ロードロック機構と呼ばれる構造になっています。

多様なニーズに対応するスパッタリング技術

デクセリアルズのスパッタリング技術の強みは、「多種多様な元素を混ぜ合わせ、目的に合わせて最適なターゲット素材を作り出せること」です。これまでに私たちは試作品で約200種類、量産品では約30種類のターゲットを作り出してきました。

当社がスパッタリングターゲットに使用可能な元素は42種類にも及びます。スパッタリングにおける直接的な当社の商品は「ターゲットの素材」ですが、複数の金属や金属酸化物などのセラミック素材を最適な割合で混ぜ合わせ、スパッタリングを行う技術こそが当社の最大のノウハウとなっています。私たちはこれからも本技術をもとに、お客さまのご要望に応じた薄膜成形技術を提供していきます。

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