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精緻な微細構造を生み出すインプリント技術

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微細加工の要「ロールtoロール方式でのインプリント生産技術」

デクセリアルズの微細加工技術は、フィルムや樹脂板、ガラスなどの基材の表面を彫り込んだり、逆に素材を積み重ねたりすることによって、数100nmから数100µmまで、多様なサイズ、パターンの微細構造を形成する技術です。基材の表面に、綿密な計算に基づく複雑な微細構造を形成することで、光の反射をコントロールするなどの有用な機能を付与します。それを可能にするのが、デクセリアルズ独自のロールtoロール方式を採用したインプリント技術です。

「ロールtoロール方式」とは、ロール状に巻かれた数百mにもおよぶフィルムなどの基材を送りながら加工し、再びロール状に巻き取る生産方式のことを指します。微細加工では他にも平らな基板単位で加工する「バッチ方式」という方式もありますが、当社が採用するロールtoロール方式は、非常に長い材料を連続して加工できることから、効率の高い生産方式として知られています。

インプリント技術とは?

デクセリアルズの微細加工の特徴は、上記のロールtoロール方式に「インプリント」と呼ばれる技術を組み合わせていることにあります。

インプリント技術は、モールドと呼ばれる「型」を、柔らかい樹脂などに押し当てて、形状を転写する技術です。以下のイメージでは型(モールド)に樹脂を押し当てて形状を転写していますが、同様の原理で金属やガラスでできた円筒形の型からフィルムなどに形状を転写します。

UV(紫外線)を利用するUVインプリントでは、フィルムなどの基材の表面に紫外線で固まるUV硬化型樹脂を塗布、型を押し当てた状態でUVを照射して硬化させます。その後に型を外すと、フィルムの表面に型のパターンが反転して形成されます。

ロールtoロール方式のインプリント技術の流れ

以下はロールtoロール方式のインプリント技術の模式図になります。最初に、ロールから巻き出されたベースフィルムにディスペンサーでUV硬化型樹脂を塗布します。次に円筒原盤を通り抜ける際に塗布した樹脂部分に型が転写され、同時にUV光(紫外線)で樹脂を硬化します。これにより、フィルム表面には原盤どおりの微細加工が施され、フィルムは再びロール状に巻かれて製品となります。なお、原盤には硬化した樹脂がきれいに剥がれるよう、「離型処理」と呼ばれる表面処理がされています。

このロールtoロール方式のインプリント技術を実現するには、円筒原盤に精度の高い微細加工をする技術をはじめ、装置内の湿度や温度の管理、UV照度、ロールの走行制御、塗布する樹脂の厚みや組成、粘度など、厳密に調整しなくてはならない要素が多岐にわたります。デクセリアルズにはロールtoロール方式のインプリントの生産において長年のノウハウがあり、蓄えてきた知見と実績が他社に比べて圧倒的な強みとなっています。

始まりは液晶テレビ用光学フィルムから

デクセリアルズのロールtoロール方式のインプリント技術は、液晶テレビの輝度を向上させるためにディスプレイ内部に使われる「プリズムタイプ輝度向上フィルム」(通称レンズフィルム)の開発からスタートしました。輝度向上フィルムは表面にプリズム状の構造を形成することで、液晶テレビのバックライトから放たれた光を効率よく集める機能があり、輝度を約1.7倍に高めることができます。テレビの画面を明るくするとともに、使用電力の削減にも貢献する重要素材として、現在も液晶テレビの製造になくてはならない材料となっています。

より高度な微細構造へのチャレンジ

デクセリアルズでは独自のインプリント技術をベースに、光や熱の影響をコントロールする機能性フィルムを開発してきました。下記はその一例でフィルム表面の微細構造の走査電子顕微鏡(SEM)画像です。左のフィルム(図A)の表面には、底面がひし形の四角錐による凹みのような形状が隙間なく並べられています。この微細構造は「再帰反射構造」と呼ばれる構造で、この表面に反射膜を形成することで、入射した光を再び入射方向へはね返すこと(再帰反射)ができます。例えば、光線波長を選択して反射膜を形成することで、ユニークな機能の実現も可能になります。その他にも表面に小さな釣り鐘状の突起を並べたり、任意の絵柄や文字を描いたりすることもでき、お客さまのニーズに合わせた微細構造をご提案しています。