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RFIDの基礎知識(その未来と異方性導電ペースト)

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RFIDとは

「RFIDタグ」と聞いて皆さんは、なにを思い浮かべるでしょうか。多くの人にとって馴染みの薄い言葉かもしれませんが、実際には私たちの生活に密接に関連しているものを指してます。

RFIDとはRadio Frequency Identificationの略で、非接触で情報を読み書きするシステムのことです。このシステムは、「RFIDタグ」と「RFIDリーダライタ」が電波(電磁波)を送受信し、物や人またその状態を自動で識別する技術として様々な業界で活用されています。

たとえば、大規模なマラソン大会に参加されたことのある方は、RFIDタグを使った体験があるかもしれません。このタグは靴やゼッケンに取り付けられ、スタートとゴールの地点で専用の読み取り装置がタグからデータを受信します。これにより、ランナーがゴールすると同時に完走時間が自動で記録され、多くの参加者はゼッケンにタグがあることすら意識していないことでしょう。

また、日本の大手アパレルチェーンでは、無人レジでのスムーズな支払い体験が可能です。これは、商品に付けられたRFIDタグからの情報をリーダライタが自動で認識し、商品を個別にスキャンする必要がなくなるためです。この方式は従来のバーコード読み取りよりも効率的で、読み取り漏れのリスクも減少します。
さらに、RFIDの優れた特性として、複数のタグを一度にスキャンできることや、視界が遮られていても、あるいは距離があってもタグを読み取ることができる点が挙げられます。これにより、高い棚の上や箱の中にある商品の管理も容易になり、物流や小売業界での時間短縮と正確な在庫管理が実現しています。

RFIDの仕組み

さらに、交通系カード、電子マネー、カードキー、イベントの入退場管理、食品業界の賞味期限管理など、日常生活の多くの場面でRFIDが活用されています。では、RFIDがどのように情報を読み書きするか、その具体的な仕組みを見てみましょう。

  1. 電波の送信: RFIDリーダライタのアンテナから特定の周波数の電波が送信されます。
  2. 電波の受信とICチップの駆動: 送信された電波をRFIDタグのアンテナがキャッチし、エネルギーを電気信号に変換してタグ内のICチップを駆動させます。
  3. データの信号化と送信: ICチップは内蔵されている情報(コード情報)を読み出し、信号としてアンテナから送信します。
  4. 信号の受信: RFIDリーダライタのアンテナがこの信号を受信します。
  5. 情報の転送と処理: 受信した信号はリーダーの制御部を通じて、接続されたモバイル端末やパソコンなどのデバイスに転送されます。
RFIDの仕組みについて説明する図です

この一連のプロセスは非常に迅速に行われ、1秒間に何度も繰り返すことが可能です。これにより、時間と労力を節約しつつ、データの正確性を保てる重要な要素となっています。

RFIDタグの基本構造

ここではRFIDタグの中でも汎用性が高いラベルタグと呼ばれるRFIDタグを例に構造などを説明します。ラベルタイプのRFIDタグは、表層材、粘着剤、インレイと呼ばれる部分で構成され、データの送受信を担うICチップとアンテナはインレイに含まれます。スーパーなどでよく見かけるバーコードラベルとの違いはこのインレイの有無になります。

RFIDタグの基本構造

タグはその利用形態から、確実なデータの送受信を求められるため、製造には精密で正確な技術が求められます。

デクセリアルズの「異方性導電ペースト(ACP*1)」は、RFIDタグのICチップとアンテナを効率的に接続する接着剤で、インレイの製造プロセスの効率化・高速化を可能にします。
*1 Anisotropic conductive paste

ICチップとアンテナの接続では、①「導通」互いの電極を繋いで電気回路を形成すること、②「絶縁」短絡を起こさないこと、③「接着」ICチップをしっかり固定することが求められます。①②と③を分けて行う製造プロセスもありますが、ACPは①②③を同時に行うことでプロセスの「効率化」ができる特殊な接着剤です。性状は液状で、ジェットエアーディスペンサーといった微量の液剤を非接触で高速塗布できる装置に対応しており、必要量を精確に塗布することで、高い生産性と低コストを実現します。
また、①導電、②絶縁については、接着剤のなかに均一に分散された大きさ数µmほどの導電粒子がICチップとアンテナの間の導通と隣接回路との絶縁を確実にし、③接着についても特殊な熱硬化性樹脂が長期にわたる耐久性と信頼性を提供します。

異方性導電ペースト(ACP)によるICチップ接続フロー図

速硬化型ACPの開発

さらに、デクセリアルズでは、RFIDタグの製造タクトの短縮を目的とし、従来品の接着特性や折り曲げ耐性を維持したまま、最短1秒の加熱(200℃*2)・加圧で十分な機能を発現する速硬化型ACPの開発にも成功しました。その結果、RFIDタグの生産性が向上し、製造コストの低減とともにデマンドへの対応力が高まり、さらに多くの産業でRFID採用が進むことを期待しています。
*2 接着剤の温度

加熱時間と効果反応率の関係について説明する図です

デクセリアルズは、ACPを活用して様々な分野でのRFIDタグの導入を支援し続けています。また、速硬化型ACPは速硬化性だけでなく、硬化時間は15秒以上と長くなりますが低温(125℃*2)での硬化が可能な接着剤に仕上がっています。ACPのみならず「速硬化」「低温硬化」に関心がある方は、ぜひ当社までお問い合わせください。私たちは、革新的な材料技術を通じて皆様の事業をサポートし、より良い未来を築くお手伝いをいたします。

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