- 要素技術
生産設備の漏油トラブルに素早く対応できるUV硬化型漏洩応急補修材の特長と採用メリット
目次
設備老朽化による「漏油」がもたらす甚大な被害
生産設備は、長期の使用による老朽化が避けられず、定期的なメンテナンスが欠かせません。
とくに、電力会社や鉄鋼会社/石油化学会社などで使用されている変電設備では、配管の腐食や、フランジ・バルブといった接続部に使用されるガスケットの劣化によって、絶縁・冷却のために使用されている絶縁油の漏洩(以下、漏油)が発生することがあります。
漏油が進行すると、油の損失にとどまらず、設備の機能障害を引き起こすことがあり、深刻な場合には、工場内外の環境汚染の要因になって想定外の被害をもたらすことがあります。このため、漏油に対しては早急かつ的確な対応が求められます。
しかし、恒久的な対策として漏油箇所を補修するには、設備のオーバーホールが必要となり、多大な時間とコストが発生します。そこで、恒久対策までの暫定的な措置として、漏油箇所をシール材などで封止する応急的な補修が広く実施されています。
従来の補修材の弱点をカバーするUV硬化型漏洩補修材
現在、漏油箇所の応急補修で広く使用されているのが、2液混合型エポキシ系補修材です。2液混合型エポキシ系補修材は、硬化後の機械的強度や耐久性に優れ、比較的安価で入手しやすいことから、応急補修用途として広く利用されてきました。一方で、もともと漏油補修材として設計されたものではないため、油面に接着しないことや、固まるまでに時間がかかることが問題でした。またしっかりとシーリングできないことが原因で新たに油道ができ、再漏油してしまうケースも報告されています。
これらの課題に対し、電子機器分野(スマートフォンやノートPC等)で長年にわたりUV硬化型アクリル樹脂を展開してきた当社では、漏油をはじめとする各種漏洩補修への対応を目的として、1液UV硬化型漏洩補修材を開発・製造しています。
電気設備などの漏油の応急補修に最適な機能を発揮するよう当社が開発した、UV硬化型漏洩補修材の特長は以下のとおりです。
- 多少の油面があっても接着可能
補修材自体が油となじむ物性を持ち、油を取り込むことで配管などの接着面に補修材が密着します。 - UV照射で短時間硬化
補修材はUVを照射することで短時間で硬化するため、新たな油道の発生につながる時間的猶予を与えません。同時に、エポキシ系補修材に比べて、補修作業の時間を大幅に短縮することが可能です。
UV硬化型漏洩補修材の補修メカニズム
UV硬化樹脂を利用した補修材は油となじむ性質であることから、被着体に付着している油を樹脂内側に取り込み、接着界面を『補修材と油面』という分離した状態から『補修材と被着体』という結合した状態へと置換します。そのため、補修材が配管等にしっかりと接着し、油の漏洩箇所を補修することができます。また、UV照射によりすぐに硬化するため、新たな油道ができる前に漏油箇所をシールすることが可能となります。

従来補修材との違い
こちらの表は、当社のUV硬化型漏洩補修材と、従来の補修材の特徴を比較したものです。特に重要な違いは、当社の漏洩補修材の特性である速硬化性(硬化速度が速い)と油面接着性(油面でも接着可能)になります。
| 補修材の分類 | 当社の漏洩補修材 | 一般的補修材 |
|---|---|---|
| 種類 | 1液UV硬化型アクリル系 | 2液混合型エポキシ系 |
| 硬化時間 | UV照射後数秒 | 混合後数分~数日 |
| 秤量 | 不要 | 必要 |
| 油面接着性 | あり | なし |
| メリット | ・油面があっても接着可能 ・塗工に最適な流動性 ・UV照射で速硬化 ・補修後の除去が容易 | ・秤以外の特別な道具は不要 ・高耐久性 |
| デメリット | ・UVライトが必要 ・光が届かない部分は固まらない ・外光でも硬化するため、取扱に注意が必要 | ・正確な秤量が必要 ・油面に接着しない ・ポットライフを考慮した施工が必要 ・補修後の除去が困難 |
※当社の漏洩補修材に関する詳細なお問い合わせにつきましては、販売元であるエアモア社ウエブサイトブランド名「リークエイド」をご指定のうえご確認ください。
硬化時間を短縮し、油面接着を可能にする──デクセリアルズの技術
従来の2液混合型エポキシ樹脂は、主剤と硬化剤の官能基が段階的に反応する逐次重合により硬化するため、硬化するまでに時間がかかります。また、主剤と硬化剤の正確な配合と均一な混合が必要で、配合比がずれると硬化不良や接着力低下の原因となります。さらに、ポットライフ(可使時間)が存在するため、作業時間に制限があります。
一方、当社漏洩補修材は、1液UV硬化型アクリル樹脂を使用しており、UV照射によってラジカルが発生して連鎖的に重合反応が進行するため、極めて短時間で硬化します。さらに、UV照射によって硬化が始まるため、硬化のタイミングを自由に調整できることも大きな利点です。

また、一般的な2液型エポキシ樹脂は極性が高く、極性の低い油膜とはなじみにくいため、油面への接着が困難です。これに対して当社製品は、アクリル酸エステルを基にした1液型補修材で、側鎖に多様な官能基を導入できるため、自由度の高い設計を実現します。その特性を活かした独自の配合技術により、硬化前は油膜ともなじみやすく、被着体に密着でき、油面でも接着が可能となりました。


長期間の耐油性と、塗布しやすく剥離可能な性質を実現
UV硬化樹脂を利用した補修材は硬化後に、高分子量かつ高架橋密度のポリマーを形成することで、分子間の隙間が少なくなるという特徴を持っています。そのため油分子が内部に浸透しにくくなるため、漏油のシール効果を長期間、確実に保つことができます。当社では「JISK7114」に準拠した実験を行っており、当社の漏洩補修材の硬化後の吸油率が、
絶縁油 Aにおいて、0.5wt%未満と極わずかであり、耐油性が高いことが確認されています。
さらに、塗布作業がしやすいように最適な粘度で設計することで、垂直面に塗布しても垂れにくい流動性を実現しました。補修後、シール材が硬化した後で再び剥離する必要が出てきたときも、はつり等の衝撃を与えることで容易に取り除くことができます。
このように、油膜の完全除去が難しい設備や、構造が複雑で補修が困難なインフラ設備においても、UV硬化型漏洩補修材は高い効果を発揮します。当社では、こうした用途に向けた接着技術の研究・開発を継続しており、技術に関するご相談に個別に対応しています。
本記事で紹介したUV 硬化型漏洩補修材の取り扱いについては、販売パートナー企業であるエアモア社を通じて行っておりますので、製品の詳細やご購入は販売元サイトからお問い合わせください。(https://n-airmore.com/leakaid/)
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