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【SID Display Week 2025出展レポート】ディスプレイ革新を支える、デクセリアルズの先進材料技術
目次
ディスプレイ技術の国際展示会「SID Display Week 2025」レポート
2025年5月11日〜16日、アメリカ・カリフォルニア州サンノゼにて「SID Display Week 2025」が開催されました。情報ディスプレイ分野の国際学会であるSociety for Information Display(SID)が主催する本展示会は、世界各国から研究者、技術者、企業が集まり、最新の技術と製品を発表する国際イベントです。
世界中からディスプレイ技術の第一線を担う企業・研究者が集結。展示会場では最先端技術の紹介が行われたほか、シンポジウムや技術セミナーも活発に開催され、研究と産業の融合、そして次世代ディスプレイの方向性を示す重要な機会となりました。
私たちデクセリアルズも「次世代ディスプレイをターゲットにソリューションを提案し、課題解決に貢献する」をテーマに出展。最先端のディスプレイ関連材料と技術を発信しました。本レポートでは、イベントを通じて見えてきた業界の注目トレンドと、当社ブースの展示内容についてお伝えします。

SID Display Week 2025で見えた業界トレンド
SID Display Weekは技術展示にとどまらず、業界の方向性を肌で感じられる貴重な場です。来場者や他の出展企業との対話を通じて、今後求められる技術の方向性を読み取ることができました。
特に注目が集まっていたのは、以下の3テーマでした。他社のブースやセッションなどもこれらに関連したものが多く、関心の高さがうかがえました。
マイクロLEDディスプレイの実用化加速
超高精細・高輝度・低消費電力を実現する次世代ディスプレイ技術として、各社がマイクロLEDディスプレイ関連の技術をアピールしていました。また、SIDビジネスカンファレンスでは、商用化に向けた最新動向が議論され、注目度の高さが際立ちました。
フレキシブルディスプレイの可能性と今後の展望
SID Display Week 2025では、フレキシブルディスプレイに関連した研究発表も見られました。中でもSamsung Displayが披露した「Polygon Foldable」や「Flexible Briefcase」といった新コンセプトのOLED端末は、折りたたみ技術の進化と新たなユーザー体験を提示するものとして関心を集めました。さらに、LG Displayは車載向けの「Slidable OLED」や、「Stretchable Display」などを展示し、応用展開の広がりを印象付けていました(出典1, 出典2)。
サステナビリティ対応技術の台頭
2025年の主要テーマの1つとして「Sustainable Displays and Green Technologies(持続可能なディスプレイとグリーンテクノロジー)」が取り上げられていました。これに関連した省エネルギー設計、リサイクル技術、エコ素材の活用などに関する発表が相次ぎ、製造から廃棄に至るまで、製品全体の環境負荷を抑える取り組みが今後のディスプレイ開発に欠かせない視点であることが明らかになりました。
これらの動向は、ディスプレイ市場が単なる高性能競争から、実用性や持続可能性を重視するフェーズへと進化していることを物語っています。私たちもこれらを踏まえ、未来のニーズに応える技術開発を進めていきたいと考えています。
デクセリアルズが提案する次世代ディスプレイソリューション
私たちデクセリアルズは、次世代に向けたディスプレイの進化を支えるべく、材料技術とプロセス技術の両面からソリューションを展開しています。今回のSID Display Week 2025では、マイクロLEDチップの実装に特化した異方性導電フィルム(ACF)を中心に展示を行い、微細実装や透明ディスプレイ対応といった最前線のニーズに向けた技術を紹介しました。
特に関心を集めたのが、プレカット加工を施した粒子整列型ACFです。ブースでは製品構造の解説に加え、デモ展示やプレゼンテーションを通じて実装イメージを提示しました。
マイクロLEDディスプレイ向け粒子整列型ACFとは
マイクロLEDディスプレイ向け粒子整列型ACFは、導電粒子を規則的に配列した構造を持つ、ファインピッチ実装対応の異方性導電フィルムです。粒径2.2μmの微小な導電粒子をおよそ4.4µmの間隔で配置(粒子密度58,000個/mm²)、マイクロLEDチップの小型パッドでも確実な粒子捕捉を可能とし、安定した接続を実現しています。
このACFにはシートタイプとプレカットタイプの2形態があり、とくにプレカットタイプはマイクロLEDチップのリペアや透明ディスプレイなどディスプレイ全体の透明性を上げたい場合などに有効です。
展示では、マイクロLEDチップの実装工程をイラストにて紹介。さらに、プレカットACFの特長を直感的に伝えるため、ガラス基板に粒子径2.2μm・密度58,000個/mm²でΦ80μmサイズにカットされた粒子整列型ACFを(500μm間隔で)貼ったサンプルを展示。透明ディスプレイを想定した応用例として、来場者の注目を集めました。
シンポジウムにて、当社はマイクロLEDの微細パッドに対応した粒子整列型ACF「ArrayFIX」の開発成果と、透明・ストレッチャブルディスプレイを見据えたプレカットACF技術について発表しました。

SID Display Weekを通じて見えた未来
今回の出展を通じて、ディスプレイ業界が大きな転換期にあることを実感しました。会場では、高精細化・高機能化に加え、環境配慮を意識した提案が多くみられ、今後の技術評価が多様化しつつあることがうかがえました。また、方向性を模索するような出展も見られる中で、特にマイクロLEDに注力する企業が多く、透明ディスプレイや高輝度HUD、3D表示など、先進的な用途を想定した展示が目を引きました。
とくに当社が紹介した粒子整列型ACFには、マイクロLEDチップの高精度実装に向けた具体的な課題と結びつけた関心が寄せられました。工程短縮や、透明ディスプレイへの展開といった応用の可能性についても、来場者との対話を通じて多くの示唆を得ることができました。
SID Display Weekは、世界中の研究者・技術者・製品企画担当者が一堂に集まり、技術を軸に市場ニーズや未来のユーザー体験について意見を交わす交流の場です。デクセリアルズは、今回の出展で得られた実践的なフィードバックを糧に、今後もディスプレイ技術の進化と実用化を支える材料・プロセス技術の開発に取り組んでまいります。
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