イノベーションの推進：デクセリアルズの北米自動運転車市場への戦略的展開

自動運転技術の進化と自動車産業の未来

自動運転技術は世界的に進展を続けており、交通事故の防止や渋滞の解消など、社会に大きな価値をもたらすことが期待されています。デクセリアルズは、この革新的な技術の発展に様々なアプローチで取り組んでいます。新技術の開発と自動車産業への市場展開を通じて、国内外での存在感を高めながら、デクセリアルズの地位確立を目指しています。

デトロイト支店の設立で本格化する北米事業

2024年5月、デクセリアルズは北米の自動車産業の中心地であるデトロイト近郊のノースビル（ミシガン州）に新たな拠点を設立しました。この新たな拠点では、北米における自動車事業の拡大と株式会社レスターとの戦略的パートナーシップの強化を目指しています。コア技術に精通したソリューションプロバイダーとして、設計段階からの提案（デザインイン）や仕様策定（スペックイン）活動を通じて自動車業界のお客様と協力し、北米地域における強固なビジネスネットワークの構築を目指しています。

　また、アジア地域においても半導体、化学材料、その他デバイスの販売・マーケティングにおいて、株式会社レスターとの戦略的パートナーシップを強化しています。この協力関係は、香港子会社を合弁会社化することでさらに前進しました。デトロイトに新設された拠点は、北米におけるグループのマーケティングおよび販売活動を強化する上で大変重要です。

センシング技術の展示会「AutoSens」への参画

デトロイトへの拠点設立に続き、デクセリアルズは自動車用センシング技術に特化した業界を代表するイベント「AutoSens」へ参加しました。
AutoSensは北米とヨーロッパで毎年開催され、センサー技術、AI、データ処理、標準規格・規制に焦点を当てた技術セッション、ワークショップ、展示会を通じて、業界の専門家や研究者が一堂に会します。この展示会は、最新の技術動向を探り、専門的なネットワークを拡大する絶好の機会となりました。

インタビュー：北米市場戦略を語る

以下は、AutoSens会場にて実施した今回の北米展開と技術革新の展望について、Dexerials America Corporation Sales Dupty General Managerの 中根　基之が語った内容（抜粋）です。

――デトロイトでの事業展開に至った経緯をお聞かせください。
「北米自動車産業の中心地であるデトロイト近郊に拠点を設立することを決めたのは、現地の自動車メーカーやサプライヤーとより密接に協力していく必要があったからです。私たちの持つコア技術を活かしたソリューションを、設計段階から提案させていただくことで、より効果的な価値提供ができると考えています。」
 
――デクセリアルズの事業の歩みについて教えていただけますか。
「当社は、もともとソニーグループ企業の一部として始まり、コンシューマーエレクトロニクスから自動車用ディスプレイ、HUDアプリケーションまで、様々なデバイス向けの材料を製造してきました。そして2022年には京都セミコンダクターを買収することでフォトニクス事業に参入し、センサーやディスプレイ技術における製品専門性を拡大し、現在は自動車産業における専門性の拡大により一層注力しているところです。」

――御社の強みはどのような点にありますか。
「当社の強みは、何といってもイノベーションとソリューション提供にあります。これまでに市場へ数多くの革新的製品を投入してきた実績があり、常にお客様の課題に対して一貫したソリューションを提供し続けてきました。そうした経験を活かして、自動車分野への貢献にも意欲的に取り組んでいます。」

――AutoSensではどのような技術を紹介されたのでしょうか。
「今回は、光学ノイズによる二重像の低減技術や防曇機能、シームレスデザイン、さらにはナノ構造表面による光学性能の向上など、光学ソリューションと製品設計の改善に関する技術を中心に紹介させていただきました。ブースでのデモンストレーションを通じて、当社の技術力と革新性、そしてソリューション提供の強みを自動車市場のお客様にしっかりとお伝えすることができたと考えています。」

――今後の展開についての展望をお聞かせください。

「今後も引き続き、エレクトロニクスとフォトニクスの技術を活用した自動車産業向けの新製品開発を進めていきます。特に自動運転技術の進歩に貢献するため、センサー技術の高度化とディスプレイ技術の改善に、より一層注力していきます。」

技術革新で切り拓く自動運転の未来

デトロイト拠点の設立とAutoSensへの参加により、デクセリアルズは北米市場における存在感を着実に高めています。エレクトロニクスとフォトニクス技術を組み合わせた革新的なソリューションの提供を通じて、持続可能なモビリティ社会の実現に向けた取り組みを進めています。自動運転技術の発展とともに、新たな価値創造への挑戦を続けていきます。