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「熱」とは何か——熱対策に必要なこと

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なぜ電子機器では熱対策が重要なのか?

すっかり生活の一部になったスマートフォンやノートパソコン。ずっと使い続けているスマートフォンがじんわりと熱を持ったり、ノートパソコンであればファンが回り出して冷却を始めるのに気づいたことがきっとあるでしょう。

そうした最先端の電子機器の設計では、熱による故障を防ぐとともに、長時間の使用による低温やけどなどの被害を起こさないために、あらかじめ放熱などの熱対策を行っておくことが重要となっています。

一例を挙げると、コンピュータの頭脳にあたるCPU(Central Processing Unit)の消費電力は、世代が更新され機能が上昇するのに歩調を合わせて増加を続けています。最新のCPUでは、300Wもの電力を消費するものがあり、投入された電気エネルギーのほとんどは、最終的に熱となって放散されます。
また通信基地局に使われる回路基板の消費電力も増加の一途をたどっており、基板1枚の消費電力は1,000Wを超えるまでになっており、何も対策を行わないと基板がホットプレートのように高温になってしまいます。しかもそれはたった1枚の基板の話であり、基地局のラック全体では最大で40枚もの基板が使われていることから、膨大な熱が発生していることになります。そのため、冷却にかかるコストも増大を続けており、あらかじめ「冷えやすい」素材と構造に基づく機器の設計を行うことの重要度が高まっているのです。

熱とは、物質を構成する粒子の運動である

そこで電子機器の熱対策に必要な知識を解説するために、本稿ではまず「熱」とはいったい何なのか、という基本的なことから説明します。

高校の物理の授業で習った記憶がある人も多いと思いますが、熱とは「物質を構成する粒子(分子、原子、電子)の運動」になります。絶対零度(0K=-273.15℃)の状態でない限り、物質の粒子は運動しており、その運動量に比例して熱を持っています。(正確には、絶対零度でも原子は不確定性原理のために「零点振動」と呼ばれるわずかな振動が起こっています)

そして、そのときの運動の仕方は、物質を構成する原子の配置構造によって異なります。

ダイヤモンド等の絶縁固体では「格子振動」、固体金属の内部では「自由電子の運動」と「格子の振動」が組み合わさって同時に起こっており、気体では粒子が並進、回転運動を起こしています。

熱量と温度は「器に貯めた水」に似ている

物質の持つ熱量と温度を理解するのにわかりやすいのが、器に貯めた水のイメージです。物質の熱量は、その物質に保存されたエネルギー量に相当します。つまり、器の中に水が溜まるように、エネルギー(熱)も与え続けることで、物質の中に貯まっていくのです。

そしてその温度は、器の中の水の「水位」に例えられます。大きな熱容量を持つ物質であれば、エネルギーを与えても底面積の広い器に貯めた水のように温度(水位)はなかなか上がりませんが、小さな熱容量(底面積の狭い器)の物質は、同じエネルギーを与えてもすぐに温度が上昇していきます。

「放熱」を水の流れに例えると

器に貯めた水のイメージを流用すると、物体から熱が発散される「放熱」は、器から水が流れ出すことに似ています。水が高いところから低い所へ流れるように、熱も外部からエネルギーを受けない限り、必ず高温側から低温側へと流れていきます。

そして発熱対策を考える際に重要となることが2つあります。1つ目は、CPU等の熱源と外気温度との「温度差(ΔT)」がどれぐらいあるかです。2つ目が、熱の総量(ジュール)ではなく、時間あたりの熱量(つまり熱流量(J/sec 或いは W)を考えることです。熱流量は、水の入った器(CPU等の熱源)と、別の器(外気温)の間をつなぐパイプの「熱抵抗」の値によって変化します。

放熱に関するよくある間違い

上記の注意を踏まえると、熱対策を行うときには、日常的に慣れ親しんだ「0℃」を基準とした熱のとらえ方をすることはできないことがわかります。

例えば、熱源の温度が50℃から100℃になってしまったときに、「2倍の温度に上がってしまった」と考えるのは間違いです。

0℃を基準とすればその考え方は正しいのですが、0℃とは、たまたま身近な物質である水の凝固点にすぎません。考えるべきは熱源と冷却目標の温度差になります。熱源の温度が50℃から100℃に上がってしまい、それを環境温度の25℃に冷やしたいならば、「25°と100℃の温度差=75℃」の温度差を考えなければならないのです。つまり50℃が100℃に上がった場合は、「2倍の温度に上がってしまった」のではなく、「環境との温度差が25℃の3倍にあたる75℃に上がってしまった」と考えるのが正解になります。

放熱において重要なのは、常に環境温度との差であることが、ご理解いただけたでしょうか。私たちのような熱対策製品を扱うメーカーにお問い合わせいただく際にも、「温度差をどうしたいか」をお伝えいただけると、有効な対策がご提示できる可能性が高まるはずです。

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