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各種放熱技術の紹介(水冷(液冷)装置編)

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高効率な放熱を可能にする水冷(液冷)の技術

近年、スーパーコンピューターの進化やデータセンターの巨大化にともない、増大する「発熱」をいかに解決するかが大きな課題となっています。

スーパーコンピューターに用いられる基板は、民生用のコンピューターに比べてCPUやICの集積度が高く、使用時間の経過にともなってホットプレート並の熱を発散します。発熱量と発熱密度が高いため、より効率的な放熱手段が求められるのです。こうしたハイエンドの電子機器の放熱では、放熱効果が高い「水冷(液冷)」方式がよく採用されています。

電子機器用の水冷(液冷)装置は、「水冷フィン」と「ラジエーター」の間を水(液体)が流れるホースでつなげた構造が一般的です。水冷フィンは銅などの熱伝導率の高い金属でできており、CPUが発する熱をTIM(サーマルインターフェースマテリアル)を通じて受け取り、さらに自身の熱伝導で水(液体)に伝える役割を担っています。

水冷フィンとウォータージャケットの内部に流れる冷却水は、CPUからの熱を受け取って温められ、ポンプによってラジエーターへと送られます。温められた冷却水は、空冷ファンによって冷やされ、熱を空気中に放散して、また水冷フィンへと戻っていきます。その循環が繰り返されることによって、高い放熱効果を生み出すのが水冷(液冷)のシステムになります。

水冷(液冷)の放熱効果が高い理由

水冷(液冷)システムが極めて高い放熱効果を実現できるのは、冷媒に水を使っていることが理由です。水は空気に比べて4倍以上の比熱を持っています。これは、「空気に比べて水の温度を1℃上げるには4倍の熱が必要」ということを意味します。つまり水は、空気より4倍の効率で熱源の熱を奪うことができるのです。

さらに水は、同体積の空気に対して約800倍重い物質です。そのため、熱源の温度を1℃下げたいとき、水を冷媒に使えば1リットルで済むとすれば、空気の場合800(比重)×4(比熱)で3200リットル以上の体積が必要となります。わずかな量の液体で多くの熱を運ぶことができるために、水冷(液冷)のシステムは熱抵抗に換算してわずか0.1℃/Wを実現することも可能なのです。

水冷(液冷)のメリットは高効率であることのほかに、熱の媒介である水(液体)を移動させることで、「熱を受け取る場所」と「放熱する場所」を距離的に離せることがあります。CPUの実装密度が上がっているハイエンドコンピューターの筐体は、内部に十分なスペースがなく、ヒートシンクを置くことが難しいことがよくあります。しかし水冷(液冷)方式を採用すれば、水冷フィンのみをCPUに設置し、温まった水をパイプで外部のヒートシンクまで運び、そこで空気中に放熱することが可能になります。

現時点で最高水準の放熱を実現する「浸漬液冷」

水冷(液冷)方式において、最高度の放熱を実現できるのが、発熱する基板そのものを冷媒の液体の中に浸してしまう「浸漬液冷」(しんしえきれい)と呼ばれる手法です。「浸漬液冷は、理化学研究所が保有する「Shoubu system B」というスーパーコンピューターにも採用されたシステムです。

このシステムで利用されている基板は、計算にともなって発生する膨大な熱を効率よく冷やすため、電気を通さない特殊な液体の中に沈められています。浸漬液冷は、流動する液体そのものが熱源に接することから、高効率に熱源を冷やすことができます。この方式を採用したことにより、「Shoubu system B」は世界のスーパーコンピューターの省エネ性能のランキングである「Green 500」で、2017年、18年と2年連続1位に輝きました。

近年のスーパーコンピュータは計算に使う電力とほぼ同等の電力を、冷却のために使っています。スーパーコンピュータは1台で数千〜数万世帯分の電力を消費する機種もあることから、いかに省エネ性能を上げるかが大きな課題となっています。浸漬冷却は空調設備やファンの設置も基本的に必要がないことから、コスト面でのメリットも大きいと期待されており、今後さらに各国のス―パーコンピューターやデータセンターでの採用が進んでいくことが予想されています。

先述の浸漬液冷は特殊な事例ですが、高性能コンピューティングの世界では、放熱手段に液冷方式の採用も進んでいます。液冷の場合も冷却能力が高いが故ゆえ、発熱体と液冷装置のインターフェースでの伝熱ロスが問題となります。私たちデクセリアルズでは熱伝導性に優れる熱伝導シートをラインアップしており、システムの熱設計の際にはぜひお問い合わせください。

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