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各種放熱技術の紹介(ヒートシンク編)

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ヒートシンクの種類

電子機器の放熱処理では、発生した熱を最終的に大気等の環境中に放散します。ヒートシンクは、電子機器の熱を(主に)空気中に効率よく放熱するために、放熱面積を広く確保できるようにした部材です。

ヒートシンクの特性として、空気(大気)と接する放熱面の面積が、広ければ広いほど放熱効率が高まります。多くの場合、金属のベースの上にフィンを一定の間隔で立てて並べた構造となっており、なるべく小さな体積で、できる限り広い表面積をもつように設計されています。

ヒートシンクには、部材の構造のみで放熱する自然空冷タイプと、ファンで空気を対流させることで強制空冷するタイプがあります。また、製造方法によって、アルミなどの金属を押し出して成形する「押し出しタイプ」、金型内に金属を圧入することで成形する「ダイキャストタイプ」、それらにヒートパイプと呼ばれる微細構造の管を組み合わせて、パイプ内に冷媒の液体を流すことでより効率的な放熱を促す「ヒートパイプ埋め込みタイプ」などがあります。

上記の中で、一般的にもっともコストが安いのは押し出しタイプです。ダイキャストタイプは金属の金型を作る際に費用がかかりますが、量産性に優れています。ヒートパイプ埋め込みタイプは、コストは比較的高くなりますが、より高い放熱性能を確保したい場合に採用されます。

ヒートシンクの熱抵抗

電子機器の放熱対策にヒートシンクを用いる場合、あらかじめ放熱性能の指標となるヒートシンクの「熱抵抗」を確認しておく必要があります。熱抵抗は、その名の通り熱を伝える抵抗(熱の伝えにくさ)を℃/W(あるいはK/W)で表した指標で、ヒートシンクの放熱面を空気がどのように流れるかで変化します。

上記の右側のグラフは、底面 45mm角、高さ50mmのヒートシンクに送風したときの熱抵抗(左軸)と圧力損失(右軸)の変化を表しています。まずは熱抵抗について説明します。グラフの横軸は空気の風速(m/sec)、縦軸(左)が熱抵抗(℃/W)を意味し、風速が増すにともない熱抵抗が1.3℃/W付近から約0.5℃/Wへと下がっていく様子(オレンジ色の曲線)がわかります。グラフは剣山のような形をしたヒートシンクの例ですが、空冷フィンの形状が変わっても風速に対する熱抵抗の挙動は同じ右下がりの傾向を示します。また、左側のグラフはファンなどによって風を送らない自然対流時の熱抵抗を示しています。ヒートシンクは自然対流の場合でも一定の放熱効果がありますが、やはり強制空冷時にその威力を発揮することがグラフから見て取れます。

ポイントは、低風速の領域では大きく低下する熱抵抗も、風速の上昇につれて熱抵抗の低下が小さくなる点です。これは風速の上昇とともに増大する圧力損失から説明ができます。圧力損失は、流体が流路を通過する際に失われるエネルギーのことで、流体の流れにくさ(流れを妨げる力=流路抵抗)を表しています。この場合、風速の上がるにつれ放熱フィン自身が空気の流れの妨げになり、風速に比例した放熱性能の向上が得られなくなるためです。

ファンとヒートシンクの関係

ファンとヒートシンクを組み合わせて放熱設計する際に重要になる数値が、「PQ曲線」です。市販されているファンには必ずメーカーから製品ごとに「PQ曲線」「PQ特性図」と呼ばれる仕様が公開されています。

PQカーブは日本語で「風量−静圧曲線」とも呼ばれ、ファンの性能を示す指標の一つです。横軸にはファンの風量(m3/min)、縦軸にはファンの風によって機器にかかる圧力(Pa)をとっています。

PQカーブは風量が0のときと、風量が最大のときに機器にかかる空気圧を結んだ線です。このグラフでいえば、黒い線の左端が風量0、右端が風量最大時になります。「風量0」とは、「ファンが動いているにも関わらず、(機器の)内部の空気が動いていない状態」を指します。箱状の機器の入り口にファンを取り付け、その空気の逃げ場がどこにもないという状況です。「風量が最大のとき」には、ファンが起こす風がいっさいの障害物の抵抗を受けることなく、機器内部を通り抜けていきます。

ヒートシンクと組み合わせたときのファンの動作性能は、ファン自身のPQ曲線と、ヒートシンクの圧力損失の交点(動作点)で決まります。ヒートシンクとファンは効率よく電子機器の放熱を実現できる部材ですが、適切な組み合わせでなければ、その性能を最大限に発揮することができません。熱抵抗とPQ曲線の数値と合わせ、コスト面や実装の工程などもよく検討して選定されると良いでしょう。

ヒートシンクを使用する際には、上述の実効ベースの放熱性能の見極めはもちろん、ヒートシンクのベースとなっている金属と発熱体間の熱の移動をスムーズにするTIM(Thermal Interface Material)について最適なものを選ぶ必要があります。デクセリアルズでは、TIMの一つである熱伝導シートを製造、販売しています。電子機器の放熱設計に関しての疑問やご要望があれば、ぜひ当社までお問い合わせください。

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