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  • 2025/11/14

【AutoSens Europe 2025出展レポート】防曇・反射防止フィルムで拓く自動運転センサーの高精度化

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自動車業界の国際カンファレンス「AutoSens Europe 2025」出展レポート

2025年10月7日から9日にかけて、「AutoSens Europe 2025」がスペイン・バルセロナにて開催されました。デクセリアルズは今年もこの国際的なカンファレンスに出展し、反射防止フィルム モスアイタイプ、開発品など車載センシング向けソリューションを紹介しました。展示ブースでは、来場したエンジニアや研究者との技術的な意見交換を通じて、センサー性能のさらなる向上に向けた当社の取り組みを広く発信しました。

本記事では、AutoSens Europe 2025における注目トピックや業界トレンドとともに、当社の展示内容についてレポートします。

AutoSensとは?

AutoSensは、車載センサーやADAS(先進運転支援システム)、自動運転に関連する最新の技術・製品・研究成果を共有する、国際的なカンファレンス兼展示会です。欧米を中心に年2〜3回開催されており、2025年5月にはアメリカ・デトロイトで「AutoSens USA 2025」が開催され、当社も出展しました。AutoSens USA 2025の出展レポートはこちら
自動車業界の専門家や研究者が多数参加し、最新技術に触れるとともに、活発な議論や情報交換を行う場として重視されています。

Many companies exhibited at AutoSens Europe, and many visitors attended.

AutoSens Europe 2025の注目点

AutoSens Europe 2025では、「センサーハードウェアの革新」や「マルチモーダル技術とセンサーフュージョン」「半導体、SoC、進化するアーキテクチャ」「AIとシミュレーション」など、6つの主要トピックをベースに、展示およびレクチャーが展開されました。

この中で、私たちデクセリアルズが特に注目していたのは、センサー技術に関する最新動向です。「センサーハードウェアの革新」に関するセッションでは、カメラやレーダー、LiDAR、光学部品など、センシングを支えるハードウェア技術の最新動向が取り上げられました。画像検知や距離測定の精度を高める新しいアプローチに加え、イベントベースセンシング(視覚変化を検知して動的にデータを取得する方式)やニューロモフィックビジョン(脳の神経回路を模倣した視覚処理技術)といった先端技術も紹介され、車両の知覚精度向上に向けた多様な技術革新が議論されました。

このセッションでは、自動運転車向けセンシングモダリティに焦点を当てたレクチャーが行われ、急激に変化する天候や複雑な都市環境でも適切に機能するセンサーについて議論が交わされました。センサー本体だけでなく、周辺環境の変化に対応する技術の重要性にも改めて注目が集まりました。

また、「赤外線技術による歩行者の安全性の向上」と題されたレクチャーでは、車両周囲の環境を包括的に把握するために欠かせない技術について理解を深めることができ、当社で開発中のカメラ向け製品に関する有益な洞察を得ることができました。

センサー機能を向上させる製品を出展

当社の出展目的は、展示を通じて車載センシング向け製品を広く紹介することにあります。また、本カンファレンスには車載センシング技術に携わる多くのOEMおよびTier1企業のエンジニアが多数来場するため、センサー機能を向上させる技術に関する意見交換を行うとともに、AIやソフトウェアなど、多角的な観点から最新情報を収集できることも魅力の一つでした。

デクセリアルズの展示ブースでは、開発製品を中心に、自動運転に不可欠なセンサーデバイスの性能向上に寄与する複数の製品を紹介しました。さらに、実際の製品だけでなく、各アプリケーションを想定したデモンストレーションを通じて、製品の実使用におけるメリットを視覚的に訴求しました。

主な出展製品の概要

自動運転車両においてセンサーは不可欠であるものの、センサーのカバーなどその周辺に付着する汚れや曇り、光の反射などが性能を低下させる要因となっています。デクセリアルズでは、これらの課題を解決し、センサー性能を向上させる自社開発製品をAutosens Europeで展示しました。代表的な展示品は以下のとおりです。

Dexerials' booth at AutoSens Europe

防曇樹脂:革新的な技術で曇りを防ぐソリューション

外気温と内気温の差が大きく、湿度が高い環境下では、車内のフロントガラスや車載センサーのカバーの内側(車室側)が曇ることがあります。これにより視認性の低下だけでなく、センサーの検知精度にも影響を及ぼす可能性があります。今回展示したデクセリアルズの防曇樹脂は、水滴による光の散乱を抑えることでクリアな視界を維持できるのが特長です。

この樹脂は吸湿・放湿機能を備えており、湿潤時には水分を取り込んで曇りを防ぎ、乾燥時には水分を放出して安定した性能を保ちます。

防曇特性のある材料でモスアイ構造を形成した反射防止フィルム

フロントガラスやカメラ・センサーのカバー表面で発生する光の反射は、カメラやセンサーの視認性や検知精度を低下させる要因の一つです。デクセリアルズが展示した反射防止フィルム モスアイタイプは、蛾の眼に見られる微細な構造を模したナノパターンを表面に形成し、反射を効果的に抑えます。また、防曇特性のある材料を用いることで、曇りを防ぎつつ高い視認性との両立をめざしております。

この技術により、カメラやLiDARといったセンシング機器の内部で発生する迷光を低減し、より安定した検知性能の確保に貢献します。車載用途を中心に、高精度な光学性能が求められる幅広いアプリケーションへの展開が期待される製品です。

光の反射を抑える黒インク

カメラやセンサーのブラケット表面で生じる光の反射も、カメラやセンサーの視認性や検知精度を低下させる要因の一つです。
デクセリアルズが展示した黒インクは、ブラケット表面で発生する光の反射を抑え、付近で生じる迷光も抑制し、カメラやセンサーへの光学ノイズ低減に寄与します。

We are very grateful to all the people who visited the Dexerials booth at AutoSens Europe.

本記事でご紹介した出展製品の詳細、および開発品の詳細についてご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

センサー性能のさらなる向上に向けて

AutoSens Europe 2025は、当社にとって車載センシング向けソリューションを世界に発信し、グローバルに技術者と直接議論できる貴重な機会となりました。展示ブースでは多くの具体的な質問やフィードバックをいただき、今後の開発を加速させるうえで大きな手がかりを得ることができました。

今回得られた知見や交流を活かし、デクセリアルズは今後もセンサー性能の向上と、自動運転の安全性強化に取り組んでまいります。

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